このお話が出来たのは、一家で嵌っている「テラスハウス」(東京シリーズ)で
ミサキちゃんが思わず泣いてしまうってのを観てて
きゅんきゅんしちゃったからなんですww
どうして涙が出ちゃうのか、泣いてる本人が分からないって感じが
とってもピュアでね~~♡ よかったの。

すぐさま堂郁変換で(笑)





涙の訳を side I

 

 

 

朝、特殊部隊の事務室に着いた時、いつもより2分だけ遅くなっていた。

ちゃんと起きられたんだけど、寝癖が直らなくって。

柴崎は蒸しタオル作ってくれて、「身だしなみは肝心だからね」と念を押して出勤していった。今日は業務部でイベントがあるから、準備が大変なんだって。

その業務部のイベントの為に、今日は館内警備の予定・・・だったんだけど。

 

「え?出張ですか?」

 

事務室内はカオス化している。何故って、堂上教官が突然の出張で、進藤一正たちの書類が行き場を失くして右往左往していたから。

 

――朝から何をやってんだか

 

タスクのみんなの様子を見た途端、一気に冷静になった気がする。

教官が一日居ないのに、落ち着いてんなぁ・・・って自分で自分を褒めた。

 

いつものことで、隊長の無茶振りだって。

朝、いきなり「武蔵野第二へ行ってきてくれぃ!」って。それは挨拶代りのように。

教官は、眉間に皺を寄せたけど黙って準備を始めて、あちらの始業時間に間に合うように出かけてしまったらしい。

 

「あと2分早く来たら会えたのにね」

 

小牧教官。それ、今日の私には堪える一言ですぅ()

2分だったの?それじゃ、いつも通りに寮を出られたら会えたじゃない!

いつも通りじゃなかったことが、悔しくて仕方ない。

会えなかったことが、寂しくって仕方ない。

 

――寂しい??

 

自分の中に浮かんだ言葉が感情になりそうな時、朝礼の時間となった。

そんな、いつもと違う一日の始まりだったから―――

 

 

 

 

教官が居なくても、館内警備のシフトは変更されなかった。

今日のイベントが少しだけ大掛かりなものだったってことが、堂上班を外せない理由になっていたなんてことは私は知らない。目の前の仕事を熟すだけだ。

今日は特に、色々考えないようにしようと決めた。

やっぱり、堂上教官が居ないのは心細い。「寂しい」って、そういうことだったんだと思う。

考え過ぎると、私は上手く行かないことの方が多い。分かってる。

だから、今日は心の赴くままに。

教官が居なくても、ちゃんと仕事出来るってところを見せたいな。

 

 

秘かな決意は結果となった。

イベントに集まった人の多さに、トラブルは大小起こってしまい。

そのドサクサに紛れてスリが現れた。

女性の脇を擦り抜けて、ホールへ向かう男と目が合った時、ピンッと来るものがあったの。

それはもう、勘としか言いようがない。図書隊員の、防衛員の勘・・・かな。

瞬時に体は反応してくれてて。一気に男と間合いを詰めると体落としで御用となった。

懐から女物の二つ折り財布。

館内で発見できて良かった。

 

この一件を皮切りに、今日の私は絶好調!

レファレンスも上手くいって、利用者さんに「ありがとう」って言われたし。

様子のおかしいご婦人を見つけて医務室へ運んだら、持病の発作とかですぐに病院へいくことになって。発見が遅れたら呼吸困難で危なかったとか。ご家族に感謝されまくって、かなり照れてしまった。

 

心細い一日だったはずなんだけどな。

教官が居ないけど、ちゃんと仕事出来てる!

ああ、教官にも見てほしかったなぁ・・・

 

 

 

「笠原さん。今日の日報、びっしり埋められるね!」

 

小牧教官がキラキラな笑顔で言ってくれた。

そうだ!日報だ!!

それなら教官にも伝わるかな?

 

文才があるとは思えないけど、今日一日の事くらいは分かりやすく書こう!

出来事と、対応と、結果と、感想。

・・・うん。埋まった。上出来だと思う!

 

 

凄い。今日は日報までスムーズに終わった。

こんなの、初めてだよ!私、凄いよー!!

 

 

 

――きょーかん!

  見て欲しいな。今の笠原

 

  絶対に褒めてくれたと思う

  きっと頭を撫でてくれたと思う

 

  あの激レアな笑顔も見られたかも!

 

 

 

 

 

  きょーかん

  今日、会いたかったなぁ・・・

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「じゃ、日報も書けたので、笠原帰ります!お疲れ様でーす!」

「おう!今日は早いな!お疲れぃ!!」

「頑張ったね。大活躍だったからゆっくり休むんだよ」

「はい!ありがとうございますっ!」

 

笑顔で事務室を出ようとした時、扉が勢いよく開いた。

 

「ただいま戻りましたっ!」

 

――教官だ!!

 

「あ、お帰り!ちょうど良かった。笠原さん帰るとこだったんだ。日報見て、判押してやってよ」

「ああ。笠原、時間大丈夫か?」

「・・あ、は、はい。大丈夫デス・・」

「ん?どうした?」

「・・・いえ。なんでもありません。教官、お帰りなさい」

「ん。ただいま」

 

微笑んで、頭を撫でてくれた。

その手で、小牧教官から私の日報を受け取って、席に着きながら読み始める。

 

 

 

夢みたい――そう思った。

 

今日は会えないと思ってた。

だから一人でも頑張るって思ってた。

 

今日まで教官に与えて貰ったものを全部出しきるように仕事した。

今日まで教官に与えて貰ったことを全部思い出して仕事した。

 

その一日がとっても充実してて。

胸を張って「上出来な一日」って言えるくらいで。

 

そんな内容の日報を読んだ教官が、ポンっと判を押して私の方に椅子を回転させた。

 

 

 

――あぁ・・・教官!

 

 

 

瞳を見ただけで解かった。

褒めてくれてた。

「よくやったな」って、教官も満足そうに。

 

そうして黙って差し出された日報を受け取ったら、教官が困った顔をした。

 

 

 

「笠原。何泣いてんだ」

 

 

 

 

――あれ? 泣いてる?

 

 

 

 

「どうした。上出来な一日だったんだろ?」

 

 

 

教官は笑いながら頭を撫でて、それでも後から後から零れる涙を拭ってくれた。

 

もう、自分でも訳がわからない。

ただ、嬉しくて。

ホッとして。

叫びたいような喜びを伝えたくて。

 

 

 

 

 

「一人で よく頑張ったな」

 

 

 

 

教官は笑ってくれた。

 

私の涙の訳を知っているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

fin.

 

 

 

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