この作品は、某所のフォロワーさん1,500人記念SSでした。

血液型で性格(?)診断みたいな話になってますが
そんな単純なものではなくて
結局は育ってきた環境とか元々の心根が肝心だよねって話。

だったのに・・・
深く読んでもらえなくて凹んだことだけ覚えてる。。。






あなたを知りたい

 

 

 

 

ある日の昼休憩時。

郁は手塚と二人で隊員食堂へ来ていた。上官二人は後から合流の予定。

本日のデザートの杏仁豆腐をゲットして笑顔満開で食事を摂る。

 

「柴崎はどうしたかなー」

「イベントの会議が終われば来るんじゃないか?」

「なーんか、柴崎って凄いよね。企画ものの会議とか引っ張りダコじゃん」

「お前と違って優秀なんだよ」

「・・・むっ。反論出来ないけど、そんなにハッキリ言うことないじゃーん」

 

手塚は、郁がいつものように喧嘩腰で来るかと思っていたが、予想外に凹んだ姿を見ることになって拍子抜けした。

 

「どした?熱でもあんのか」

「んー。大丈夫」

 

おでこに手を当てる郁を見て、手塚が珍しく吹き出した。

 

「熱があるのかと冗談で聞いて、ホントに確かめられたのは初めてだ」

「・・・あたし、可笑しい?」

「いや、別に可笑しくはないと思うが。なんだ?誰かに何か言われたのか?」

「はぁ・・・手塚、どうしてそうやって分かっちゃうの?」

 

溜め息を零して、郁の箸は勢いを失くしてきた。

 

「何があったか話してみろ」

「うん・・・あのねぇ・・・」

 

 

 

 

先日の公休日。

郁はちょっと溜めてしまった洗濯物を攻略しようと、カゴを抱えて洗濯場へ向かった。

平日昼間の寮内で顔を合わせるのは、公休日が同じ隊員だ。お互いに状況は分かっているので、特別な挨拶は無く目と目を合わせて「どーもー」といった感じだ。

その日、洗濯場で会ったのは同期の小島だった。

 

「あれ、笠原。洗濯物多いねー。さてはサボったな」

「んー、サボったわけではないんだけどぉ」

「そんなカゴいっぱいになってるの、見たことないわ。笠原ってズボラだったの?」

「へ?・・・ズボラ?」

「結構みんな、こまめに洗濯してるよ。見習った方がいいよー」

 

話しながらてきぱきと洗濯機を回す準備をしていく。各自お気に入りの香りの柔軟剤などを使うため、女子寮の洗濯場はさながら香水売り場のような空気だ。

郁は、最近意識して購入している香りの洗剤を投入口からドボドボと注いだ。

それを横目に、小島はキャップで丁寧に軽量して投入する。

 

「笠原、あんた何型?」

「え?何型って、なに?」

「血液型よ!他に何があんのよ!」と大笑いされる。

「あー、O型だね」

「なるほどね」

「・・・なに、その反応」

 

明らかに上からな感じの物言いに、少しだけムッとした。

 

「大雑把なO型、ってよく言うわよ」

「大雑把・・・」

「どう?当たってる?」

「ん、少し」

 

素直ねー!とまた大笑いされ、郁は褒められてるんだか貶されてるんだか分からない。

悔しいから郁からも質問してみる。

 

「そういう小島は何型よ」

「あたしはAだよ」

「・・・で?」

「あはははは!笠原って血液型占いとか興味ないの?」

「んー、あんま信じてない」

「そうなのね。A型は几帳面とか言われるかなー。B型は自己中とかね」

「ふ~ん」

 

そこまで教えてもらっても、郁にはあまり興味が沸かない。本当に気にしていないのだ。

 

「意外に当たってたりするのよ、これが!だから面白いのよ。友達とか周りにいる人でリサーチしてみると、結構『あるある』って感じなの」

「周りにいる人・・・」

「あー、笠原なんて見本市みたいな部署にいるんだからさ。みんなに血液型聞いてみなさいよ」

「見本市って()

「あんな個性豊かなメンバーに囲まれてて、羨ましいわー」

 

郁の脳裏にタスクの面々が浮かんでくる。その中でも一際異彩を放って、堂上班の3人が存在していた。

そういえば、みんなの血液型なんて知らなかった。ちょっと聞いてみてもいいかな?などと思ったが、聞いてその先は?話が広げられないのに聞いても仕方がないような気もする。

 

「みんなに聞いても、それでどんな人なの?とか分かんないし」

「じゃ、その辺のこと、ちょっと詳しく教えてあげるから。お昼一緒に出掛けない?」

 

小島の誘いに断る理由も見つからず、郁はちょっと苦手な同期との初めての外出をする羽目になった。

 

 

** **

 

 

ファストフードが大好きな小島の希望で、某有名ハンバーガー店で昼食を摂ることにする。

それぞれにトレイを持ち席に着く。郁は小さく「いただきます」と手を合わせた。

「笠原って、ちゃんと躾けられてるのね」と小島が漏らしたのを聞き流し、バーガーの包み紙を広げて豪快に齧り付いた。

小島はジュースを一口飲んで、何本かポテトをつまんでからバーガーに手をのばす。

 

お互いに食べ終わって飲み物だけが残っている状態になった時、小島がふと郁の目の前で人差し指を立てた。

 

「ね、笠原。これ見て」

小島が指差したのは、トレイの上。

「この違い、性格が出てるよね」

 

見ると、小島のトレイの上にはバーガーの包み紙が丁寧に畳まれている。

郁のは、ぐしゃっと丸められていた。

 

「あたしは、笠原は躾されてる子だと思うわ。でも、この違いは性格よね」

O型って感じ?」

「うん、まさしくね」

「へー」

「あたし、別に親からこうしろって言われたわけじゃないけど。気が付いたら、こういう物は畳んでるのよ。友達にも何人かいて、聞いてみたらみんなA型だった」

「几帳面ってか」

「必ずしもそうではないかもしれないけど、全く関係ないとも言えない気がするのよ」

 

具体的な実際の例を見せられて、郁はちょっと興味が沸いてきた。特別違った環境で育ってきたわけではなさそうなのに、こんなところで違いが出るものなのだ。

 

「で、笠原。もし今後こういう場面に出くわしたら、ちゃんと畳みなさいね。彼氏とデートとかでこれだと、ガッカリされるかも」

「か、彼氏とか!そんなの、ないない!!」

「分かんないじゃーん!笠原だって、いつかは誰かと結婚とかするんだろうし?」

「ひえ~~~~~~っ!!」

 

最終的には郁の恋愛経験の無さに話が集中し、終始居た堪れない時間となってしまった。

 

 

 

 

 

「小島に言われたの。トドメに」

「なんだって?」

「・・・大雑把なバカ正直、だってさ」

「ぷっ」

「あー!笑ったなー!!手塚ならあたしの気持ち分かってくれると思ったのにぃ」

「ごめん、分かるんだが、小島の天才的な表現がなぁ。ツボだった」

 

手塚はメインの豆腐ハンバーグに箸を刺した。皿の上には大きめの一口大をいくつも作っておいてある。

 

「・・・手塚ってさ、もしかしてA型?」

「いや。俺はB型」

「うそぉぉ!」

「なんで嘘なんだよ」

「だってさ、その食べ方とか、几帳面って感じだし」

「それこそ、これは躾の賜物だな。今となっては癖だ」

「んー、その区別は難しいなぁ」

「あ、でもな、俺的にはいくら躾けられても、習慣化するには理由がいるぞ」

「なにそれ」

「面倒臭がりなんだよ、実は。効率的だと分かると実践するタイプ」

「効率的・・・なるほどね。計算高いって感じ」

「それ、褒め言葉じゃないし」

 

郁はふふふと笑ってつみれ汁を啜った。

 

「ね、教官たちって何型かな?」

「堂上二正は、絶対にAだな」

「あ、やっぱり?あたしもそう思った。細かいもんねー!何かにつけ」

「おいこら、上官に向かってそれはないだろ。几帳面と言え!」

「あー、はいはい。几帳面ね。バカが付くほどね。うっひっひ」

 

手塚は白米の最後の一口を頬張り「お前がバカだ」と言葉を籠らせた。

 

「小牧教官は?なーんか、小島の話を聞いても、これ!ってのが見つからなくてさ。小牧教官は予想も出来なかった」

「うん、確かに。小牧二正はつかみどころがないんだよなー」

「・・・謎だよね、あの人」

「・・・それは否定しないでおく」

「うひひ。手塚、アンタっていい奴だね」

「こんなことで褒められても嬉しくないけどな。ま、そう思っとけ」

「図々しいんだよなー」

 

郁があははと笑った時、「楽しそうだね」と爽やかな声がした。

 

「うわぁぁ!小牧教官!!」

「あ、堂上二正も。お疲れ様です」

 

二人、何故か息が合う起立でお辞儀する。

 

「・・・あれぇ?変なの。二人、妖しいなぁ。ね、堂上」

「そうか?」

「笠原さん、何焦ってるの?」

「あ、あ、焦ってなんか、ナイデス」

「くくく・・・何でカタコト?・・・くくくく」

 

早速上戸に入る小牧を見つめて、郁はこの人の性格を見極めようとしていた。

そんな高等技術、郁には無理だと早々に気付いていた手塚は、冷静に空気を読んでいたのだが。

 

 

 

「笠原、今日はデザートの方を取ったのか」

「はい!杏仁豆腐ですから~~~♪」

「だと思ったんだよね。はい、これもどうぞ」

「ん、俺もやる」

「笠原、もう一つどうだ?」

 

「・・・え?みんな、くれるんですか?」

「イケるでしょ?いつも杏仁豆腐の時は『バケツで食べたい!』って叫んでるし」

「や、叫んでなんかないですよー」

「いや、叫んでるな」

「絶叫ですね」

 

ウソだー!と言いながら、しっかりとデザートのカップを頂いて、えへへと照れ笑い。

大好きな杏仁豆腐をゆっくりと堪能している郁を横目に、堂上と小牧は豆腐ハンバーグに箸をのばした。

堂上は端から丁寧に切り分けて食べ進めている。

 

「・・・堂上教官って、A型ですか?」

「ん、そうだが」

「やっぱりねー」

手塚と顔を見合わせて頷いている。

「なんだ。それがどうかしたのか」

「いえ、教官って几帳面だなぁって思ったから。きっとA型だよねーって手塚と話してたんです」

「あ、因みに笠原は、二正のこと『バカが付くほど』の几帳面だと言ってました」

「あー!手塚の裏切り者ぉぉぉ!」

 

郁の涙の訴えなどなんのその。手塚はしれっと茶を啜っていた。

小牧が軽く笑ってから口を開く。

 

「それを言うならさ、神経質じゃない?他人には分からない拘りが結構あるよね」

「確かに、自分に課してる決め事があると言えばある」

「へ~!どんな事ですか?」

 

郁は何も考えずに聞き返したのだが、これに対して堂上が言い淀んだ。

 

「ぐふっ・・・例えば・・デザートは笠原さんにあげると決めてるとか・・ね・・・くくく」

「え・・・」

「小牧ぃぃ!」

「え、ダメ?これくらいいいじゃん♪見てたら分かるし」

「そうですね」

「見てたら分かる?え、手塚も??」

「分かるだろ。だから俺もお前に杏仁やってるんだろうが」

「うん。堂上が笠原さんにデザートあげるでしょ。笠原さんの嬉しそうな顔見てると、こっちまで嬉しくなっちゃって、もっと喜ばせてあげたくなっちゃうんだよね。で、俺たちも便乗してデザートあげるようにしてたんだけど・・・今日は全員揃っちゃったね」

 

小牧の話をポカンとした顔で聞いている郁に、手塚が「バカっぽいぞ」と突っ込んでいつもの兄弟喧嘩に発展しそうになったところで、会議終わりの柴崎登場。

 

「みなさん、もう食べ終わっちゃいましたかー!もう、全然話が進まなくてぇ。イライラしたらお腹すいちゃいましたぁ」

「柴崎にしては量が多いねー」

「でも、やっぱりこれは無理。笠原、食べて!」

 

またもや杏仁豆腐が郁のトレイに移動してきた。

 

「柴崎まで・・・これ、5個目だよ?いくらなんでも・・・」

「いや、まだまだバケツ一杯には程遠いぞ」

「笠原さんならイケる!」

「胃もバカだからな」

 

若干バカにされている気もするが、郁を喜ばせようとしていると言っていたのを思い出すと、使命感が漲ってしまう。

 

「笠原、いっきまーす!!」

 

柴崎からの杏仁豆腐は3口で食べ終え、堂上班は午後の仕事へと向かった。

 

 

 

 

午後は館内警備。

郁は堂上とバディを組んで歩いていた。

 

「きょーかーん・・・」

「どうした。具合でも悪いのか」

「・・・いえ、なんでもないです!大丈夫です!」

「・・・」

 

暫くして各階の警備担当と持ち場を交代する時間となる。

二階へ向かおうとした時、堂上が郁の腕を引いた。

 

「笠原、ちょっと休め」

「え。どうしたんですか?」

「お前、やっぱり具合悪いだろ。杏仁豆腐の食べ過ぎじゃないか?」

「・・・なんで」

「は?」

「なんで、教官はそんなことまで分かるんですか!?」

 

少し涙目になりながら、郁は食ってかかるように堂上へ疑問を投げつけた。

 

「そりゃあ、毎日見てるからなぁ」

「・・・見てたら分かるものですか?さっきも、小牧教官が同じようなこと言ってたし。

手塚も分かってるみたいだし」

「そこ、納得いかないみたいだな」

クスリと笑った。

「俺はお前の上官だから、他の奴らよりお前のこと見てる自覚があるぞ。じゃなきゃ班長なんて務まらん」

「なんか、みんな分かってるのに、あたしだけ分かってないのが悔しいなぁ」

 

堂上は郁の頭に手を乗せ、軽く弾ませた。

 

「それより、腹が痛いんじゃないのか」

「うーっ、ピークは過ぎましたから。大丈夫です」

「そうか?無理するなよ」

「・・・教官、怒らないんですか?食べ過ぎるのが悪い!って」

「ま、普段ならそう言いたいところだが。今日はなぁ・・・俺たちも煽っちまったし。まさか柴崎まで横流しするとは思ってなかったからな。すまなかった」

「えっ!やだ!教官の所為じゃないですよー!」

「お前のことだから、柴崎の厚意を無視はできなかったんだろ。俺が止めてやればよかったな」

 

もう一度頭を撫でた。郁はくすぐったそうに肩を窄める。

 

「あたしが断ればよかったんですよ。でも、断れない性格なんです」

「ん。知ってる」

「・・・O型っぽいですか?」

「血液型がどうのって言うより、それはお前の優しさだろ」

 

郁は耳を赤くしながら、堂上の言葉に喜びを感じた。

 

「なんか、大雑把な馬鹿正直とか言われたんですけどね」

「・・・それでもお前は怒ることなく、そうなのかな?ってな感じなんだろ」

「そうですね」

「そういう性格、悪くないと思うぞ。お前は充分優しいし、細かいこと気にしない大らかな性格じゃないか」

「モノは言いようですねー」

「細かいこと気にする俺にしてみたら、羨ましいけどな」

「えーっ!教官に羨ましがられるなんて、レアでしょ!」

 

眼をキラキラさせて郁のテンションが少し上がったようだ。

 

「俺だって、A型だから几帳面だとか、神経質だとかよく言われたが。周りの人間が言うほどでもないんだ」

「そうなんですか?」

「面倒臭いと思う事も多いし。嫌な仕事は後回しにするし」

「えー!?でも、教官は、嫌いな食べ物は先に食べますよね?」

「は?」

「苦手な食べ物、先に食べてます。いつも」

 

言ってから気付く。郁は自分の発言がかなり恥ずかしいものだったと真っ赤になった。

 

「・・・それは気付かなかったな。お前もよく見てるじゃないか」

 

堂上がふっと笑った。

 

「お前は、俺のバカが付くほど几帳面なところは気にならないのか」

「几帳面じゃない教官は、教官じゃありません!」

「なんだそれ」

「・・・ごめんなさい。手塚と話してた時、最初は『何かにつけ細かい』って言ってました」

「はは!なんでお前はそう、馬鹿正直なんだ!」

 

笑いながら郁の頭に乗せた手で、まるで飼い犬を可愛がるように髪をわしゃわしゃと掻き混ぜた。

 

「教官は凄いです。他人に厳しいけど自分にも厳しくて。努力を惜しまないし。細かいって言ったけど、あたしとかに対してはそれは気遣いになってて、いつもとっても助けられてます。公平だし、篤い想いを持ってるし、すごく尊敬します!」

「・・・聞いてて恥ずかしいんだが」

「言ってても恥ずかしいデス」

 

顔を見合わせて二人で笑い合うと、「行くぞ」と仕事モードに切り替わる。

 

 

 

 

実は、互いに相手のことを穴が開くほど見ている二人。

自分のこと以上に、相手のことをよく知っているのだが・・・

本人たちは気付かない。

 

そしてずっと想い続けるのだ――――

 

 

 

 

 

 

 

『もっとあなたを知りたい――』

 

 

 

 

 

 

fin

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「おやすみ」「おはよう」

俺を呼ぶ声

comment iconコメント ( 2 )

そうですよね~

お疲れ様です!

血液型って言うよりは、仰るとおり元々持って生まれたものや、
育った環境や経験が大きいですよね、その人をつくっているものって。
私は、A型ですが、B型やO型とか言われるなー。A型とも言われるけど。信憑性が全くないわー(笑)

しかし堂上班は素敵な関係ですね。
こんなチームで働きたい!

名前: kiko [Edit] 2016-12-02 12:25

Re: そうですよね~

kikoさん!ありがとうございます♡

私は典型的なB型って言ってましたけど、仕事とか書道とかではA型?って言われることが多いの。
何でA型に見えるの?って不思議で仕方ない。
こんな猪突猛進なA型、居るか?と(笑)
そして、不思議とAB型?とは聞かれないww
星座占いもそうですが、当たってる部分とそうでない部分があるから面白いんでしょうね♪

名前: 悠@c.you [Edit] 2016-12-04 22:52

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