やぁ。お待たせしました。(待ってないって?)
パラレルの6話目です。
どのタイミングでアップするか迷ってしまいました。
出来てたんですけどね…この後がね…真っ白(笑)
でも、アップしちゃえば何か思いつくかも?とか楽天的に考えて。

間隔空いちゃいましたから、お話忘れてしまってたらごめんなさいですm(__)m
続きも頑張りますのでよろしくお願いします。








6 番外編

 



 

それはうららかな春の日の午後―――

 大学付属の小学部の卒業式を先週終え、エスカレーター式にそこの中等部へ入学することが決まっている私・柴崎麻子と、小学1年生の時からの腐れ縁・手塚光は、中等部の教務主任から呼ばれて、春休み中だというのに登校していた。

 教務主任の用事は――はっきり言って迷惑な話だったのでお断りしてきた。入学式で新入生代表として壇上に上がって欲しいというものだ。正直、この学校特有の「差別」の実態を知る者としては、快諾し難い案件だ。誰が好き好んで自ら目立つようなことをするかっ!てーの。ついでに、こんな話なら電話で良かったじゃん!!

 と、多少憤慨の足取りで手塚と二人帰路につこうとした時、校庭で陸上部が練習しているのが見えた。中等部と高等部合同で行われているらしいことは、ジャージの色などで分かったのだが、その中に見慣れない支度の子が一人混ざっていた。ジャージだけが目立っていたわけでは無い。その子の立ち姿、風を切る美しいフォーム、コロコロとよく変わる表情、元気な通る声――全てが私の心を鷲掴みした。

 

 

「手塚……あたし、あの子と友達になるわ!」

 

  それはなんの宣言だったのだろう。ふと頭に浮かんだ言葉を躊躇いもなく吐き出した。衝動って、こういうのを言うのかな?なんて、冷静に分析したりして。

  私らしくない、と言ったらそうなんだけど、とにかく、このときに芽生えた感情は生涯忘れないと思う。そのくらいの大きな出来事として、私は「笠原 郁」と運命的な出会いをしてしまったのだ。

 

 

 

 

 そして入学式後。気が付くと私は笠原を目で追っていた。彼女の動向が気になって、ついつい後をつけてしまった。そこで堂上先輩と彼女のただならぬ関係を知る。笠原は幼馴染みだということを強調していたが、言葉の端々にそうではない感情が見え隠れしていたし、何より盗み見た堂上先輩の表情が・・・笠原を特別な存在だと隠しきれないものだった。

 この二人が今後どうなっていくのか―――私はとても興味を持った。もし、そのことで笠原が悩むことがあったら、友人として助けてあげたいと思ったのもこの時だった。

 

 その後、思いがけない人物から笠原について声をかけられた。高等部生徒会長の小牧先輩だ。堂上先輩と同様、高等部からの中途入学。成績優秀で、一目置かれる学業特待生。聞けば、堂上先輩とは中学から一緒だったとか。こんな優秀な人材が二人も居た中学校って、どんだけだ!と思ったものだ。

 

「二人は笠原さんと同じクラスでしょ?彼女とは話したりするの?」

「はい。仲良くさせてもらってます。明るくて、いい子ですよ」

「そっか。ちょっとね、友達が気になってるみたいだったからさぁ」

「あー・・・それは堂上先輩ですか?」

「・・・あれ?知ってるの?」

「笠原から聞きました。幼馴染みだって」

「気になってるのは、別の友達なんだけど。そうか―――幼馴染みね。堂上の様子がおかしいなぁって思ってたんだけど」

 小牧先輩はカマをかけていたようだ。情報を取るのが上手い!!

「あのさ、お願いがあるんだけど。今後、笠原さんの情報を俺に流してくれないかな」

 ――言い方っ!!  と思ったけど、そのストレートな物言いも、嫌いじゃない。

「メリットありますか?」

「ふふ・・・柴崎さん、流石だね。そうだな、君たちには直接的なメリットにならないかもしれない。でも、笠原さんにとってはメリットになるかな。彼女の気持ちを翻弄させるものがあったら、俺からこっそり忠告してやることも出来るんだけど?」

 

 それは噂の「小牧スマイル」付きで、心が冷える感覚もあったのだが。私達が笠原を大切に思ってるのと同じように、小牧先輩は堂上先輩を大切に思っているのが分かるから。きっと二人にとっていい方向へ導いてくれるんじゃないかと淡い期待をして、私は先輩の願いを聞き入れた。

 

 

 

◆◆

 

 

 

中等部での生活に少し慣れてきた頃、私と手塚はある噂を耳にする。発信源は陸上部。どう聞いても笠原の存在を疎ましいと思っている先輩たちの声だった。

 

「手塚、どうしたらいい?」

「んー、笠原に忠告、だな」

「ついでに、あることないこと言ってる人たち、やっつけちゃってもい?」

「・・・こえーよ、お前」

手塚は背中を向けながら「冗談に聞こえないんだよ」と言った。それはそうだろう。冗談では無かったのだから。

ぽっと出の下級生に実力で劣る事態に、先輩たちが焦る気持ちは分かるけど。だからって、笠原を貶めるようなことは許せない!

「いつか必ずやってやるわ!」と息巻く私を、手塚は溜息混じりで見つめてた。

 

 

笠原を取り巻く不穏な空気を小牧先輩に報告する。先輩は先輩で、陸上部総部長がお友達だから話を聞いていたようだ。当然、堂上先輩の耳にも入っていて、すごく心配している様子だと言っていた。

笠原本人が望まなくても、彼女のことを守りたいと思ってくれる人は自然に集まる。笠原は、そういう人物なのだと思った。

同志は多いに越したことは無い。それぞれ適材適所を心がけて、笠原を守っていけばいい。そのメンバーの中に、ちゃんと堂上先輩も名を連ねてくれるものだと思っていたのに・・・

 

 

 

 

それは、夏休み前のある日。

笠原は休み時間になっても、頬杖をついたまま席に座ってぼーっと外を見ていた。

「どうしたの?元気ないじゃない」

「んー、そんなことはないんだけどね」

「都大会前で部活大変?」

「・・・大丈夫だよ」

「先輩たちと何かあったわけじゃないのね?じゃ、何があったの。ちゃんと話しなさい!」

「もーっ・・・柴崎には敵わないなぁ」

渋々話す笠原の口から飛び出したのは、新井先輩の告白という急展開なものだった。

 

「それで?!笠原はどうするの?」

「んー?返事、するよ」

「なんて?!」

「えー?・・・まだわかんない」

「でも悩んでるんだ。それって、新井先輩の気持ちに応えたいって思ってるの?」

「・・・そう、なのかもしれないね」

 

他人事のように笠原は呟いた。何かを諦めたようにも感じて、思わず私は「それでいいの?」と問いかけたくなった。でも、そんなことを言ったら笠原は混乱するだろう。きっと自分でも気が付いてるはず。笠原には大切な人が存在していて、その人の影響を強くうけてきたこと。その人と新井先輩を比べるようなことは、笠原は苦手とする分野だろう。

笠原が本当に好きな人と気持ちを通じ合わせられることが、私の望む一番のことだけど。もしかしたらそれは本当の笠原の幸せとは違うのかもしれない。

 

「あんたが誰を選ぼうと、私は全力で応援するわよ。笠原ならきっと、相手の想いに流されて・・・なんて短絡的な選択はしないと思うから。ちゃんと前を向いて、気持ちのままに真っすぐに走っていくだろうから」

 

私は思ったことを告げた。同時に、私自身がどうして笠原に興味を持ったか、分かったような気がした。

私は、笠原の真っすぐさに惹かれたんだ―――自分の進むべき道の先には、必ず確かなゴールがあると見据えているような瞳に、それを信じて真っすぐ走る逞しさに。

 

 

「ありがとう」と答えた笠原は、窓の外に見える100mトラックを眺めながら小さく息を吐き出した。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

夏休みに入り、私と手塚は学業特待生を対象とした補習に通う毎日。大きな大会前で練習に励んでいる笠原も毎日学校に来ているはずだが会えずじまい。

陸上部内のことも気になるし、新井先輩とのことも気になる。私はタイミングを見て、週に一度は笠原に連絡を入れるようにしていた。だが、大会の練習に打ち込む陸上部は、笠原の存在に構っていられないようで。笠原自身も新井先輩の全国大会が終わるまで返事を待ってもらうことにしたと言う。

夏休み終了間近になって、漸く事態が動き始めた。

 

 

「え・・・笠原、それでいいの?」

笠原の報告に驚いてしまった。新井先輩に前向きな返事をしたというのだ。

「うん。先輩、良い人だし。あたし、嫌いじゃないよ。すごくあたしのこと考えてくれて、一緒にいても楽しいもん」

「確かに、新井先輩って噂より硬派で、面倒見が良くて、後輩からの人望は半端無い人よ。その点、堂上先輩や小牧先輩と似てると思う。だけど――――」

「柴崎、あ、堂上先輩は、関係ないよ」

「嘘っ!関係ないわけない。笠原、あんたがずっと想い続けてきたのって、堂上先輩じゃなかったの?ここで自分に嘘つくの?」

思わず熱くなってしまった。私の思いを笠原にぶつけても、混乱させるだけだと分かっているけど、どうしても黙ってはいられなかった。

 

「・・・堂上先輩ね、他所の大学受験するんだって」

「え・・・」

「建築学科へ進みたいって。多分、おじさん・・・先輩のお父さんが建築会社に勤めてるから、影響されたのかもしれないね。で、大学いったら留学もしたいって」

「笠原、アンタそれで新井先輩にしたってわけじゃないわよね」

「あたしはこれから陸上に真剣に打ち込みたいの。その一番の環境を作ってくれるのが新井先輩だと思った。先輩ね、指導者になりたいんだって。だから、あたしの練習を見に来るって言ってくれて。すごく心強いなぁって思ったの」

「それと、堂上先輩の外部受験は、どう関係してくるのよ」

少し睨みを効かせる。いつものように、堂上先輩の話になると濁す笠原を予想したから。

 

「柴崎にだけホントのこと言うね。あたし、ずっと小さい頃から、篤くんのことが好きだったんだと思う。この気持ち、どうしたらいいのか分からないんだ。篤くんに伝えたいって思う時もあるけど、でももし、あたしが気持ちを打ち明けたら、篤くんはどう思うのかな?って考えると怖くて何も言えない。今は、大学のこととか将来のこととか、篤くんは考えなきゃいけないことが多いから、邪魔したくないし」

 

まだ人を好きになること自体に慣れてない笠原。堂上先輩への気持ちに、ちょっとだけ素直になってみただけ成長したって言えるのかもしれない。

自分の気持ちと向き合って。そこで気付いた想いを持て余してる。それが不安で仕方ないんだろう。それなら、新井先輩の気持ちに応えるほうが楽なんだ。嫌いじゃないって気持ちを好きの方向へ向ければいいだけ。笠原はそう思ってる。

 

「新井先輩への返事、堂上先輩はどう思うかしらね」

「・・・あたしのこと心配しなくてよくなって、心置きなく受験勉強が出来るよ」

ちょっと寂しそうな笠原の声に、何故だか私が泣きそうになった。

 

 

 

 

全ては、堂上先輩のため――――なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【つづく】

関連記事
スポンサーサイト

職業選択の自由

王子様にサヨウナラ

comment iconコメント ( 4 )

青春だ!

遅くなってごめんちゃい。
ようやく『1俺とあいつ』からゆっくり旅して来れたよ〜

久しぶりに足を踏み入れたこの世界は、キラキラして眩しいほどの青春の1ページだった!
すぐに答えが出せない、結論が出ないっていうこの時期ならではの時間の流れ、あるよねー

番外編は、柴崎とこまっきーの協定模様がおもしろかった!さすがの麻子様も、上下関係の厳しい学校の5学年上の食えないやつには、やや押されぎみ(笑)そうやって郁ちゃんのことを認めて、守ってくれていたんだねー♩

ああ、郁ちゃん!そんな思考回路でナナメ上に!
青春期のナナメ上は郁ちゃんに限らず、専売特許だけど、なかなかやっかいだよねー
新井先輩、同郷だし魅力的な人で応援したくなるけど、堂郁は絶対神聖領域なんだよー・・・
悩むなぁ・・・(なぜに?なぜに私が?ww)

名前: aya@屋根裏部屋 [Edit] 2017-06-15 12:06

タイトルが番外編6しかなくてさ、なんの番外編だ?と踏み入れてみたならばっ!

お久しブリーフのパラレルではあーりませんか!きたきた、やっときた。

郁ちゃんの斜め思考になるのかなぁ、思いやりなのかなぁ…
やっぱり切ない(*꒦ິ⌓꒦ີ)
でも新井パイセンは憎めなくて。
青春ってイイね…

名前: ジョー [Edit] 2017-07-14 19:37

ayaちゃんへ

私こそ、遅くなってごめんちゃい(≧∇≦)です。
コメントも、パラレルも・・・( ̄▽ ̄)

私ももう一度はじめから読み返して、続き書かねば!
エンディングを忘れてしまいそうだ(笑)

郁ちゃんの斜め上。
堂上先輩も一線を引いた感じ。
ここの二人は、ジレを通り越して背中合わせです。
早く同じ方向を向かせてあげたいぞ!!!

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-14 01:23

ジョーへ

あざーっすww
誰にも「パラレルどうした?!」と言われない、温い生活してます(笑)
そろそろ本腰入れないとねっ!

新井先輩を、当初は嫌なヤツって設定にしてたのにさ。
いつの間にかイイ子になってるから、困っちゃうぅぅぅ( ;∀;)
可哀想なことにならないで欲しい!(笑)←そこ、私の腕次第じゃんww

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-14 01:26

コメントの投稿