禁断のシリーズが完結したばかりですが・・・ここでコラボのアップです(笑)
ええ、はじめの頃、同時進行でしたね。えへへ…
堂上sideを私が、郁sideをayaさんが、それぞれ3話ずつ交互に書いてます。








王子様にサヨウナラ



堂上side 1

 

 

 

最近、笠原の様子がおかしい・・・。

 

常識や規則といった堅苦しい言葉が生活に染み込んでいる俺とは違って、どちらかと言えば感覚や嗅覚を発揮して周囲とのバランスを取る笠原は、自己の感情が表に出易いのだと分かってはいたが、この所のあいつのソレは首を捻りたくなるような様子ばかり見て取れる。

何となく視線を感じて辺りを見渡すと、ちょっと離れた所に笠原が居る。明らかに挙動不審になっていて、お前、今そこからこっち見てたよな?と問いかけたくなるが、声をかけようとするとサッとその場から居なくなる。また、堂上班のちょっとした休憩時にコーヒーを淹れてくれるのだが、俺が一口飲むのを待ってから席に戻ったり。班長会議を終えて事務室の扉を開けると一番に視線が合ったのを確認したのに、瞬時にそれは無かったことになっていて、若干無視されたような気持ちになってしまったり・・・と、これは俺の感想が混ざってしまったが。

とにかく、笠原の様子がおかしい。今までのあいつを形容する言葉が「面白おかしい」だったとしたら、今は「単におかしい」になるくらいに。それはもしかしたら、周囲には些細な事としか見られないのかもしれない。俺がこんなにあいつの様子を変だと思っているのに、周りの反応は変わらないから。だから、笠原がおかしいことを誰にも相談できずに、ただただあいつの変な様子を伺いながら、一体何があったのか探る毎日になっている。

 

このおかしな様子はいつからだったか・・・時計を逆回しにしてよく考えなおしてみる。

最近で一番の事件は、笠原が査問にかけられたことだ。あの時は当の本人も俺たちも、本当に苦しくて。出来ることなら二度と思い出したくないと思うくらいに、皆が疲弊していた。

笠原のメンタルを注意して見守って来たが、査問は突然終了を迎え、笠原の周囲は徐々に落ち着いてきたように思う。柴崎からの報告では、女子寮内での嫌な空気も薄れてきたと聞く。ただし、女の世界はそんなに簡単な物ではないらしく、査問が終了したからと言ってすぐに以前のようなフランクな関係に戻れない者もいるようだ。まあ、そこは時間の問題ということもあるだろうし、そもそも笠原には柴崎がいれば大丈夫、といったような恐ろしく心強い味方の存在があるから心配は要らなそうだ。そっち方面で悩むほどのことは今のところ見当たらない。

 

査問終了で思い出すのは、あの手塚慧との時間だ。いけ好かない奴の本当の目的が何だったのか、何となくは掴めているが理解を深めようという気持ちを削がれる対面だった。あれが手塚の兄だというのが実に悔しい。

巧みに裏から手を引いて、笠原を陥れた張本人。ヤツは笠原を誘い出し、あいつを騙して弟を手に入れようとしたが、予想外にキッパリと拒絶されたらしい。

笠原を甘く見過ぎだ。一見、何も考えていない体育会系の体力バカな女だと思ったんだろう。さぞかし、扱いやすい人間が弟の近くに存在してくれて良かったと思ったに違いない。

確かにそういう一面も無きにしも非ずだが、笠原の直情型な面は仕事や仲間への想いに集約されている。図書隊の仕事に誇りを持ち、仲間との絆を第一に考えているあいつが、それを裏切るような誘いに乗るわけがないのだ。

手塚慧クラスの人間なら、この手の作戦での情報収集は完璧なものだろう。当然、手塚の周辺を調べ尽していたはずで、そんな中でも笠原は規格外であったと言えるんだろうな・・・と思ったら笑えた。不思議と何があっても大丈夫、といった安心感が湧き上がる。

 

あの日の帰り道。手塚慧の本来の目的を知ったであろう笠原は、自分が罠にかけられたことよりもバディの気持ちを想って傷ついていた。それを口に出したりはしなかったが、何か深く考えて混乱気味だった。そういったことで悩むのは笠原らしくない・・・と、俺の気持ちを正直に表して励ましてやりたかったが、まだそれは俺の中で許される行為ではなくて。いつものように頭を撫でるだけの乱暴な励まし方になってしまった。

あいつはそれを喜んでくれたような気がしたんだが―――やっぱり何かが足りなかったのだろうか?

 

後日、俺は事務室で、笠原によって床に沈められた。

 

そうだ。あれだ。あの日だ。

あの日から何かが変わったような気がする。

 

元はと言えば、笠原に返されたカネが引き起こしたことだ。そう、手塚慧から送られてきたという、あの日の食事代。いや、カネが問題だったんじゃない。同封されていたらしい手紙の存在が、俺の何かに火をつけたんだ。

どんな内容だったのか気になって仕方が無かった。ヤツの手口は信用ならない。また笠原を巻き込むような内容だったら許さない―――そんなお節介な気持ちに支配されて、無理矢理に笠原から手紙を奪おうとした俺が・・・悪い。

 

悪かったと思っている。だけど、謝ることが出来ずに過ごしてきてしまった。

時間が経てばそれだけ、気持ちを素直に伝えるのは難しくて。そして、笠原の態度がおかしな具合になっていることも、素直になれない理由に利用して。

 

変な距離を作り上げてしまったのは、やっぱり俺の所為だよな・・・・・

 

 

 

 

 

―――ん?

 

視線を感じた。顔を上げるとデスクの向こうに笠原が立っていて、目が合った瞬間に・・・逃げられた。

 

 

 


 

 side 

 

 

 

王子様を、見つけた。

 

 

童話「青い鳥」そのまんまに。

もう一度会いたくて、ずっとずっと探していたかの三正は、事もあろうにすぐそばに、いた。

 

茨城の書店であたしのために見計らいをした関東図書隊の三正

=あたしの王子様

=堂上篤

 

手塚慧からの爆弾級の嫌がらせのような手紙により、事実は暴露された。

一月以上にも及んだ焚書事件にまつわる査問の日々のあれこれ、恨みつらみを一気にぶっ飛ばすような衝撃だった。

 

夢に見ていた感動の再会にはならないわけだ。

ロマンチックで甘酸っぱい・・・それはヒロインがお姫様だった時だけか。あたしが相手だから、こんな間抜けになるのか。

 

ってことはちょっと待って!

入隊面接の時、あたしが「王子様みたいでかっこよかった」なんて言ったから。

あの場にいた面接官の多くは、今になってみればタスクの上官たちばかり。

あたしが「姫」なんて似合わない称号で呼ばれる理由はそれか。

・・・盛大な嫌味じゃんか・・・

もう、やだ。

みんなして、隠して。あざ笑っていたんだ、きっと。

 

 

 

翌朝。

ここまで仕事に行きたくない朝はなかった。脳みそ混乱中&寝不足につき「ズル休みをする」という頭脳も働かなくて、社会人として仕方がなく。お金を返却しなければという言い訳を盾に、落ち着かないままに出勤してしまった。

だから、墓穴を掘った。

その人・・・あたしの憧れの王子様でかの三正である堂上教官を、その人直伝の大外刈りで脳震盪を起こさせるヒロインが・・・・いるわけない。

 

ダメだ・・・完全に嫌われた・・・と落ち込んだあたしに、手を差し伸べてくれたのは、全てを知っているくせに、素知らぬ顔であたしと堂上教官を面白がって見守っていた小牧教官だった。ちょっとは恨んでる。でも、双方の考えを知っている貴重な存在だということは、認める。

 

小牧教官からもらった「少なくとも部下として笠原さんを嫌ってない」「部下として大事にされている」「過保護にすぎるくらい」という保険の数々。その上で「今の堂上を見てやって」という宿題にも似た解決の糸口へのヒントをもらった。

心臓はバクバクしたままに。それでも、ちゃんと堂上教官の部下に徹することに専念しようと回らない脳みその上っ面な方で決心した。

 

 

 

 

頭と心は、引き離せない。特に直情型な自分にはなおさらだ。

だって目の前には、かの三正がいる。

これまで、毎日顔を付き合わせていた堂上教官が、かの三正だったと知ってから、目が教官を追ってしまう。否、見つめてしまう。多分無意識で。

 

 

館内警備中、教官のすぐ後ろを歩くと、教官の匂いがする。

整髪料なのかな?・・・大人の男の人の匂い。整髪料に特別こだわっている風ではないけれど、この匂いを嗅ぐと堂上教官だと思ってしまうから、街中で似た匂いを嗅いで、教官に会えた!と思って 振り返ったのに、それが知らない男の人だと、あからさまにがっかりする。見知らぬ他人なのに、ちょっと憎むくらいに。

あ、でも。堂上教官がかの三正だって知る前から、この匂いは好きだったような気がする。

 

隊食で一緒に取ることが多い昼食。

あたし、知らないうちに自然とかの三正の食の好みを知ってたってことだ!って思ったら、うれしい。ギリ20代だけど、まだがっつり系。でも、和食とか好きなんだよね。おひたしにかけるお醤油の量まで、だいたいわかっちゃうなんて、あたし、見過ぎか!?

辛いのもいけちゃうけど、コテコテに甘いのは苦手みたい。昼食にデザートはさして必要ないらしく、いつもあたしにくれる。

いらない物を押し付けるのには、目の前にいるあたしがちょうどいいから?それとも、あたしが欲しがるから?

・・・わかんない。嫌いなら、カウンターでトレイに載せるのを断ればいいのに、そうしないのは何でだろう。

 

自分のことは自分でやるのが鉄則の、タスク。でも班のみんなの前で自分の分だけ飲み物を用意するって、あたしにはかえってあり得ないから、インスタントだけどみんなな分のコーヒーをいれる。かの三正のコーヒーの濃さの好みを知っていたなんて、なんて贅沢なんだろう。高校生の頃のあたしが知ったらひっくり返るだろうな。

手塚にコーヒーを差し出しても「ん、サンキュ」って言うだけ。あたしの方も、置かれたマグも見ない。そーゆー奴よね。小牧教官はこっちを見て「ありがとう」とニコッとしてくれるけど、手元は書類をさばいていたり、キーボードをタイピングしていたりと自分のペースは変えない。

堂上教官は。コトンと置かれたマグに目をやり、手元を止め、あたしを見て「すまんな」とか「ありがとう」とか言ってくれる。んで、とりあえず、口をつけてくれるんだ。熱いのわかっているのに、すぅーっとすすって「ふぅ」って小さく一息つくの、知ってる。その時に、ちょっと背中の力が抜けて肩が下がるのは、無意識なんだろうな。その仕草の後は、また仕事に戻ってしまうからこっちは見ないけれど、役に立てたみたいで、すごく嬉しい。

クワガタ仕様にした時はすすった後、驚いたようにこっちを見てくれるから。わざとそれをしたくなる・・・のは、内緒。

 

先輩たちの書類を押し付けられて、困っている顔。

眉間にシワがよっているのはもはやデフォルトだけど、それでもいろんな表情のバリエーションがあって。はっきりとした笑顔でなくても、今、いい気分なんだろうなということまではわかるようになった。面倒くさそうにしながらも、やり遂げてちょっと誇らしく先輩に持参した時や、「ありがとな、助かった」って言ってもらって、眉をクッと上げた悪い気がしていない顔。小牧教官と二人で何やらコソコソしゃべっている時の、目を見開いたちょっと若い顔。手塚を背中から見守る、静観している顔・・・この時の指の在りかがまた色々を物語るんだけど。

あたしには?怪訝そうな、心配そうな顔ばかり。ふと目があっても、パチリと瞬きするだけで、表情一つ変えない。睨みつけられるよりはマシか。もっと笑ってくれたらいいのに。

 

もっと、ずっと見ていたいけど、仕事の終わりは来る。日報を提出して、受領されたら終業だ。「帰っていいぞ」って言われるのが嬉しくないのは、いつからだろう。

どうしてそう、思うんだろう。

 

教官の顔を見たくても見れなくて困っているのは、あたしの頭をポンポンってしてくれている時。大抵、あたしが凹んでいる時で、知らずと俯いてしまっているから、不意に頭に温もりが来ても、顔を上げられない。

あの感触。ほら、やっぱり。この人がかの三正なんだと確信する。

でも最近、ポンポンしてくれない。そんな場面にならない。

最後は確か・・・手塚慧に呼び出されたあたしを迎えに来てくれた時。靴のヒールで背丈が若干高くなってしまっているのを、不満そうにしていたっけ。あれが、最後。

教官がかの三正だって知ってしまった今、次になでてもらったら、あたしはどんなリアクションすればいいの?

 

 

寮の自室で、いつものようにベッドで「はじまりの国」を手に取り、じっと眺める。思い出されるのは、かの三正との出会いの思い出・・・もう、その人物はぼんやりとした影ではなく、堂上篤その人の顔で上塗りが完了している。そして悔しいことに、毎度毎度ときめく。

しかし、そこから時系列に思い出すのは、図書隊入隊面接以降の己の愚行。

困惑し、恥ずかしさで憤怒した堂上教官の顔。笑いを噛み殺したタスクの面々の顔。面倒臭そうな手塚の顔。なんでもお見通しな風な柴崎の顔ですら。

今の自分には味方がいないみたいな気さえする。

 

あたしはどうすればよかったの?

 

あの日、あの書店に行かなければよかったの?

素直に良化隊に本を差し出していればよかったの?

あの三正を探さなければよかったの?

図書隊を目指さなければよかったの?

 

出会わなければよかった・・・教官にそう思われているの?

 

涙がこぼれないように、ぎゅっと目を閉じる。

今夜も、眠れない。

 

 

 


 

堂上side 2

 

 

 

笠原の様子がおかしいと気付いて暫く経つ。すっかりヤツの言動を気にする毎日になっていた。相変わらず笠原との距離が埋まらず、もどかしい気持ちと戦っている。

もどかしい、と思うのには理由がある。実質的な距離が出来ると、当然のように出来なくなった事があるのだ。

笠原の頭を撫でること―――言葉にしてみたらなんてことないが、この行動には重要なものが秘められていて、俺にとっても笠原にとっても・・・解釈を広げれば特殊部隊全体にとっても、精神衛生上必要不可欠な行動であったのかもしれない。

 

俺にとって、笠原の頭を撫でる行為は、口に出来ない想いを込める手段だ。元来、『言葉足らずの要らんこと言い』である俺。必要なことを告げず、必要無いことをポロッと零す、困った生き物になっている。自覚はあるが、それを改善しようと思っても、どうしたら良い方向へ導けるのか正解が分からなくて、いつも考えている内に言葉を伝えるタイミングを逃す。思えばこれは、俺の学生時代からの悩みのひとつだった。

そんな俺だったが、笠原郁という人物に出逢って、上官と部下という関係性の中で出来るだけ上手くコミュニケーションを取ろうと思った時、それは無意識に取った行動だった。

 

落ち込んだ笠原を励ます時。仕事が上手くいった笠原を褒める時。同じ思いだという事を伝える時。仲間としての士気を鼓舞する時―――俺の手は笠原の頭を撫でてきた。

そうすることで想いを伝えてるつもりだなんて、俺の勝手な自己完結で。もしかしたら笠原には、俺の想いなんて微塵も伝わっていないかもしれないと思ったこともある。

だが、笠原の頭を撫で、5センチ下から伺えるあいつの表情が、俺の行為を受け入れてくれていると感じた時のあの喜びにも似た気持ちが忘れられなくて。一種の麻薬の様に、この行為は止められなくなった。

 

それが今、微妙に出来た距離のお陰で、俺の手が笠原に届かない状況だ。

正直に言おう。禁断症状が出てきたように思う。精神衛生上必要不可欠だと思うのは、これが原因なのだ。

 

今のこの状況―――笠原はどう感じているのだろう。

相変わらず、時折俺を見つめているのは気配で分かる。何かを考え、何か答えを出したくて、あいつらしい斜め上思考を発揮してのことだろう。悩むことは悪くない。自分を成長させたいと思ってのことだろうから、下手に邪魔はしたくない。あいつの思う通りにさせてやりたい。

 

だがな、笠原―――お前が何か悩んでいるのなら、俺は出来るだけお前の力になってやりたいと思ってる。だから本当なら、俺に頼って欲しいと思ってたし、お前が頼れる相手は俺しか居ないと思ってたんだ。

まさか、笠原の相談相手に小牧が選ばれるとは。

 

これが、青天の霹靂ってやつだな。

 

俺の頭の中は真っ白になって。

ちょっとした絶望感ってやつも浮かんできて。

それなりにあった自信も、足元を固めてきた過去の栄光も、全て崩れ去ってしまうくらいの衝撃。

 

笠原と俺との距離は、今は実質的なものであって、何だかんだ言っても心は―――近いんだろうと思っていたのは、きっと俺だけ。楽天的な考え。お目出度いヤツだな、俺。

 

 

 

訓練中、グラウンドを走る笠原を見つめながら、俺の思考はある所で停止した。

調子が悪そうに走る笠原を心配しつつ、声をかけるのが怖くて仕方ない。

上官として立っているつもりが、それさえも揺らぐくらい動揺する。

 

今、笠原に声をかけて、医務室へ向かわせるついでに、気遣いの言葉をかけて頭を撫でてやればいい――――良策と思えたのに、全く動けない。

とにかく今は、笠原を止めなければ。

無理させちゃいけない・・・

 

 

 

多分、人生初。

ショックが大きすぎて眩暈を起こした。

吐き気がして、苦しくて。

 

この時、俺の最後の記憶の中で、「教官」と呼ばれた気がする―――

 

 

 


 

side 

 

 

 

ああ、今朝も教官の怒鳴り声が頭に響く。

10分前行動をモットーに、もっと早く出勤しなくちゃいけないのは、頭ではわかっている

けど、体が言うことをきかない。

 

寝つきが悪い原因も、夢見が悪い原因もわかってる。

みーんな、この怒鳴り声の主のせい。

ううん、ちがう・・・教官は悪くない。

あたしのせいだ。

 

 

過去にしでかした、わざわざ教官を傷つけるような態度、言動。恩を仇で返し、神経を逆なでした。

かの三正だって知らなかったからこその言動だけど・・・あれはないわ。嫌われても仕方ない。

その後悔が、あたしの体を、心を、蝕んでいる。

 

でも、今朝はちょっといい夢だったんだよな。

早起きして、隊食行ったら教官が「偉いぞ」って笑って、頭を撫でてくれた。朝食を食べ終えて、自室で支度して、タスク事務室に滑り込んだら、まだ手塚も小牧教官も出勤していなくて。教官がまた、あたしの頭を・・・

 

ってさすが夢。そんなこと、起こるはずないのに。

だからほら、時計を見て悲鳴をあげることになった。

 

 

よく眠れないから、朝が辛い。もうずっと、隊食で朝食を取れていない。

午前中が訓練じゃないなら、エネルギーゼリー飲料とかビスケットでごまかす。午前中から体を動かすような訓練なら、前の夜のうちにコンビニでおにぎりを買っておけばいい。前は3つはペロリだったのに、今はノソノソと着替えながら、少しずつかじって2個完食できるかどうか、だ。

こんな状態で戦闘職種が務まるか!・・・なんてわかってる。でも、体が受け付けない。

それでも、そうまでしても仕事に来るのは、この仕事が好きで諦めきれないし、タスクのみんなも大好きだし、それにやっぱり教官に会いたいから。

最近は怖い顔ばっかりだけど、それでも、近くにいてくれると、うれしい。

バカだなぁ、あたし。こんな見込みのない、想い。

 

 

今日は久しぶりのハイポート。更衣室で訓練着に着替える時に、念のためゼリー飲料を追加で胃に押し込んだ。

体が資本の職業・・・なのに、こんなごまかすようなことしてたんじゃだめじゃん。

ため息をついて、ロッカーを閉めた。

 

 

集合場所に向かう途中、小牧教官に声をかけられた。

「笠原さん、顔色良くないね。訓練だけど、大丈夫?」

「はい。大丈夫です」

「無理してるね。堂上も、とっくに気づいてるよ。笠原さんが様子、おかしいの」

「えっ!?な、なんでっ」

「なんでって、そりゃ。笠原さん、あからさまに堂上見過ぎ。あれじゃあ、誰でも気がつくよ」

「う、うそ!」

「昨日堂上の部屋で飲んだんだけどね。なんだか考え込んでいるようだったよ、あいつも」

「そ、それはもしかして、見られて迷惑だっていう・・・ことでしょうか?」

「んー・・・実際あいつの口から聞いたわけじゃないけど、迷惑だってのは違うかな。笠原さんの挙動不審の原因に心当たりないのか?って聞いたら、『俺が聞きたい。何なんだあいつは!』って・・・くくくっ」

上戸を発動しかけた小牧教官をジト目で見ながら、ふと誰かの視線を感じた。そちらを見れば、まさかの堂上教官ご本人とばっちり目があった。

うっ・・・不満げなその顔は、あたしに向けたものですか?・・・と思ったのは束の間で、不意にそらされた。その諦めたような、物憂げな表情は、気になる。

ひっじょーに気になるんですけど!!

 

 

 

最近は教官とは、業務上必要な言葉を本当に短く交わすくらいになってしまった。まぁ、あたしが普通にできていないから、なおさらなんだろうけど。

くだらない日常の些細なことを話して、「アホか」って笑ってくれることも「ありえん」って呆れられることもない、味気ない日々。

業務で成果をあげても、さも当たり前だという感じで、端的なお褒めの言葉も頭を撫でてもらうこともない。「お疲れ」だけなんて、むなしすぎる。

 

 

タスクの他の隊員同士でもしないし、手塚にもしない褒め方。

あれが、好きだった。そのために頑張れた。

どうしたら元に戻れるんだろう・・・

 

 

 

 

はぁはぁはぁっ

やばい。体が重い。

こんなことくらいで、息が上がる。

すぐ前にいた手塚の背中がどんどん遠くなる。

目の前の景色が、白い膜越しのようになって・・・

 

そう思った時に、ぐんと誰かに腕を引かれた。抵抗できるだけの余力もなく、くにゃりと膝から崩れ落ちてしまった。誰?堂上教官?

 

「はい、笠原さん、ストップ。これ以上は、走っても消耗するだけ。体調悪いのにそれを無視してがむしゃらに飛び込んじゃいけない意味、もう、わかるよね?」

「・・・はい。すみませんでした」

「立てる?医務室に一応行っておいで。顔色、さっきより悪いし、変な汗かいてるみたいだよ」

そう言って小牧教官が腕を引いてくれて、何とか立てた。

立ち上がって、きっと憤怒の表情でこっちを見ているはずの、堂上教官を探す。

 

 

あれ?なんか変?

絶対無理したことを怒られると思ったのに。

 

ゴールライン付近で上官たちが数人、タイムを計ったりしながら立って見ている。

その中の一人。堂上教官は、焦点が合わない感じの目つきで、一点を見つめていたと思ったら、口元を片手で覆って、崩れるようにしゃがみ込んだ。

 

 

「堂上教官!!」

 

 

 

□□□□□

 

 

体調不良で失格くらったのに、全速力で駆け寄ってしまって、あまつさえ小牧教官をも置いてきてしまった。必死すぎて気がつかなかったけれど。

 

しゃがんで、うずくまったのは少しの時間で、堂上教官は顔色が悪いままに立ち上がった。頭を振って少しよろけている。「大丈夫だ」と言って、差し出したあたしの手も、使ってくれなかった。

 

怒ったのは、小牧教官だ。堂上教官の反論を受け付けずに強引に指揮権を譲り受け、堂上教官とあたしに医務室行きを命じた。

「大丈夫だって言い張るなら、笠原さんの付き添いで行け!でも、お前も昼まで戻るな!」

小牧教官に本気の凍りついた目で睨まれたら、堂上教官とて言い返さないんだなぁ・・・。

顔色がまだよくないくせにがっしりと体を支えてくれる堂上教官に、『久しぶりに教官の温もりと匂いだぁ』なんてフワフワした頭で、あたしは思った。

 

 

「笠原さんはきっと一過性の貧血だね。体調悪いのに無理するから。でも、頬の赤みもさしてるし、ここに来るまでにだいぶ戻ったんじゃないかな。これでちょっと休めば大丈夫だよ。で、問題は、堂上君の方ね」

自分は付き添いだから、診察はしてくれなくていいと頑なだった教官を、医務官は瞬時に要診察と判断して座らせた。少し威圧的な医師の本気の心配は、教官にも伝わったようで、腹をくくったように素直に問診に答え出し、ホッとした。

 

ところが、耳に入る医務官と教官の会話は、びっくりすることばかり。何もかもが初耳で、全く気づかずにいたことが、苦しい。あんなに見ていたのに。

 

え?なんて?

血圧、何度も計り直すってすごく高いの?

教官の今日は走ったりしていないのに。ずっと、こんなだったの?

ずっと寝不足・・・っていつから!?

ちょっと前から耳が聞こえにくい、とか、嘘でしょ!?

「あたしが、大外刈り放って、頭打ったせいじゃ・・・」

言いながら溢れる涙。ええい、止まれ。あたしに泣く資格なんてない。

「ちがうよ、笠原さん。改めて病院に行ってもらうけど、症状からしてストレス性のものだと思うよ。まずは休んで、二人とも」

 

あたしたちが医務室に着くまでの間に、しっかり小牧教官から連絡が入っていて、二人とも有無を言わせず奥のベッドに押し込まれた。カーテンの向こうのベッドには、堂上教官が。

 

ごめんなさい。ごめんなさい。

気がつかなくて、ごめんなさい。

いっぱい迷惑かけて、ごめんなさい。

 

 

「笠原。頼みがある・・・耳のことは、小牧には言わないでくれないか」

低く穏やかな口調で、カーテン越しに声がした。

「毬江ちゃんのこともあるし、余計にナーバスになると思うんだ。まだ症状も軽いし、日常生活では聞こえの違和感くらいで、大丈夫だから」

「必ず病院に行ってくれますか」

「・・・ああ」

「あたしも付き添っていいですか」

「・・・好きにしろ」

「好きにします!」

「・・・」

返事の代わりに、すぅすぅと寝息が聞こえてきた。よほど、寝不足が続いていたのかと胸が痛む。

「きょーかん?」

返事がないのをいいことに、そっとカーテンを開けて、教官のベッドサイドに腰掛けた。

呼吸に合わせゆっくり上下する教官の胸に、安堵する。眉間にシワがない教官の寝顔をじっと見つめる。

 

あたしは、いつしか教官の眠るベッドに身を預け、夢に落ちてしまった。

 

 

 


 

堂上side 3

 

 

 

これは、夢だ――――そう思うのには理由がある。

目の前に笠原が居るから。しかも、最近では見られなかった、笑顔の笠原だ。

あり得ない。笠原の頭を撫でてやることも出来ずにいるのに、こんな無防備な笑顔を俺に向けるはずもない。

しかし、この笑顔には夢であっても破壊力がある。

自分の置かれている状況を冷静に分析しながらも、目の前の笠原の笑顔に吸い込まれていく。それは多分、俺の願望なのだろうと諦める。

 

―――きっと、あいつの笑顔が見たかったんだ。

 

最近は、何かを考えるように、難しい顔をしながら俺を見つめる笠原ばかりを見ていた。そんな警戒したような表情を見せなくても、言葉一つ伝えてくれたら、いつでも俺の手は差し出せる態勢を整えているのに。

そう思っているのに何もできない自分に、歯痒い思いをしている。

 

そうだ。夢の中くらい、素直になってみたらいい。

普段では絶対に出来ないことも、言えない言葉も、今なら思うがまま。

 

 

俺は―――目の前で笑顔を咲かせる笠原の頭に手を乗せ、感触を味わうようにゆっくりと撫でた。

柔らかい髪が指に絡むように。

掌の熱が伝わるように。

 

目の前の笠原は、嬉しそうに笑って器用な上目遣いで俺を見た。

それだけで、何故だか 安心 した。

 

 

 

 

 

 

 

――くん。・・・堂上くん」

呼ばれて意識が覚醒した。目に飛び込んできたのは、白い天井だった。

「堂上くん、聴こえてる?」

医務官の囁くような声は、右耳には届いている。視線を動かし姿を捉えて、二度瞬きをした。

「笠原さんが寝てるから、小さい声で話すよ。ちょっと呼ばれたから留守にします。さっき小牧くんが様子を見に来て、もうちょっと寝かせてやってほしいって言われてるから、ちゃんと寝ててください」

「・・・わかりました」少し声が掠れた。

 

 

ぼーっとする頭で白い天井を見つめる。ふと気が付くと、自分の手が動いている。指の先には、笠原の髪――――――  ん?

 

全身を緊張させて、俺は俺の動きを止めた。

夢だと思っていたが、もしかしたら現実だった?!

そっと頭を枕から離して、俺のベッドに突っ伏している笠原の様子を伺った。完全に寝落ちているようだ。寝息も安定していた。

 

思わず笑みが零れる。と同時に、笠原の頭を撫でるのを再開させた。

久しぶりのこの行為が、この所の荒んだ心を浄化していくみたいに感じる。

 

 

笠原から微妙な距離を取られて、俺は情けないくらい動揺していた気がする。どんなことがあっても、笠原は俺から離れないと、根拠の無い自信があったんだ。それが揺らいだのは、間違いなく査問の後からだと分かっているのに動けない。

自分に苛立って、多分それがストレスになっていた?―――左耳の聴こえが悪くなったのは、寝不足が続いてからだとも気付いていたが。

 

「病院か・・・」

指に絡んだ笠原の髪を流すように撫でた。

大切な部下を泣かせるほど心配させてしまって、上官として恥ずかしいと思いながら、こうやって懐いてくれるまでになった笠原のハートの強さに感心する。

 

思えば笠原は、本当に勇敢な女の子だった。あの日のこいつの背中を忘れたことは無い。笠原が時々、王子様を追いかけて来たと言うように、俺はあの日の女子高生の背中を心の拠り所にしてきた。それがすぐ手の届く所に現れて、嬉しいのと恥ずかしいのと困ったのと・・・笠原入隊当時の俺の心の揺れは、誰にも正確に分かるまい。

困り果てて箝口令を敷き、今日までこいつを騙すように過ごしてきた。こいつだけじゃない。自分自身も騙してきた、と言っていいんだろうな。

絶対に俺から正体は明かさない。そう誓ってきたんだから、今更、微妙な距離を縮めるための手段になんてしたくない。だけどこれを明かしたら、俺の心は少しは軽くなるんじゃないか・・・?

 

 

猫を撫でるように動いていた手を止める。

そっと上体を起こして、笠原の顔を覗き込んだ。

完全に寝ている呼吸音に安堵して、俺はひゅっと息を吸い込んだ。

 

「万引きの汚名を着てまでこの本を守ろうとしたのは君だ」

 

再び頭を撫でる。あの日より長く。殊更、優しく。

気が付くと、笠原の睫毛が濡れていた。

 

 

 


 

side 3

 

 

 

ゆらゆら・・・

フワフワ・・・

 

虹色の波間を漂っているかのような感覚に、ああ、これは夢を見ているんだ・・・と直感する。心地よくて、目覚めたくないと体が覚醒を拒む。

遠くで聞こえる、誰かの話し声。これって堂上教官の声だ。

低くて、太くて。安心する声。

いつだって導いてくれる声。

 

さっきからずっと、頭に載る温もり。

優しく重いその手の持ち主は、堂上教官だって、わかってる。

王子様に頭をポンポンっとされたのは、たったの一度。

堂上教官には、入隊以来もう何度そうしてもらったろうか。

小牧教官に頭に軽く手を置かれた時、残念ながら心には響かなかった。

最初から堂上教官に撫でられた感触は、例えようがないくらいに気持ちを高揚させて、沈んだ気持ちをなだめてくれて。だから後から、かの三正と同一人物だと知って、ストンと納得がいった。

 

つまりはかの三正はずっと近くで見守ってくれていた。導いてくれていた。

かの三正としてではなく、堂上篤二正として。

この手、安心する。この人に出会えて、導いてもらえてよかったと、心底思う。

 

 

「万引きの汚名を着てまでこの本を守ろうとしたのは君だ」

 

ささやくような声に、ガバッと起き上がりそうになった。なのに、体の自由効かず、動けない。

あんなに嫌がっていた王子様を名乗ることが、どれだけこの人にとってハードルが高いか・・・もう、わかる。

なのに、どうして今、それを飛び越えてくれたの?

それも、寝ているあたしに。

 

その声は確かに、堂上教官その人で。記憶の声ともピタリと一致して。

しかもこのセリフはかの三正、本人にしか知り得ないもので。

 

ああ、やっぱり。間違いなく、この人だ。

嬉しくて、閉じたままの目が、潤む。

 

もしかして・・・教官はけじめをつけたいの、かな。

そしてその上で、幕引きとしたいのかも。

そう思ったら、もう、二度とかの三正として、あたしの前に現れてくれることはのないのだと直感した。きっとこれが最初で最後。

 

ああ王子様、サヨウナラ・・・

あなたに会えて、よかったです。

 

寝たふりしながら泣くのを堪えるのは、至難の技だった。鼻水が垂れてきそうになって、慌てて鼻をすすった。

「起きたか?」

優しい声に誘われて、目を開いた。そこには、優しい眼差しをこちらに向ける、堂上教官がいた。そんなレアな顔、ずっと見ていたいのに、視界がぼやける。

すぐにあたしの瞳が濡れているのに気づいたのか、頭に載って髪をすくようになでていた手が、戸惑ったように止まった。それでも下ろさないでいてくれて安心する。

「なんで泣いてる・・・怖い夢でもみたのか?」

「いえ・・・すごく、いい夢」

そう言ったけど、涙は次から次へと溢れてくる。湧き出るように溢れる涙を止められない。

 

教官は、ずっとずっと、あたしが泣き止むまで頭を撫で続けてくれた。

 

 

 

 

盛大に泣いて、私の心の針は大きく振れた。

そうしたら、途端に止まっていた時間が動き出す。

 

ぐぅうううう

 

恥ずかしさで身を縮めると、また、堂上教官の手が、頭に載った。

「いつものお前に、戻ったな」

「むぅーーーー」

「ははっ・・・隊食、行くか?」

「行きます!」

 

久しぶりの空腹感。嘘みたいに体が軽い。

 

自分が使ったベッドの毛布を整える教官の背中に向かって、宣言よろしく強めの口調がついて出た。

「次の公休、教官は休日出勤はナシですよ。病院に行きましょうね」

ピタリと手が止まり、それでも背を向けたままの返事は超絶シンプルな「お前も?」だった。でも、その声色に、迷惑そうな色はない。

「もちろん。付き添いです」

一度畳んだ毛布をまた広げたり、畳んだり。「そんなもんいらない」とか、そんな風にブツブツ言い募る。そんな建前を気にした意見は、採用しない。

「心配、させてください!」

毛布をいじる手が、完全に下ろされた。

どう反応が来るのだろう、としばらく待つ。

 

「・・・じゃあ、次の公休な」

 

ここにいることを、許された気がした。

 

 

 

久しぶりの隊食で、アジフライ定食をのせたトレイを手に席に着くと、当然のように向かいに教官が座った。そして、まるでルーティンのように、授与されるデザート。

大盛りにはしてもらっていないけど、ご飯を完食したら「偉いぞ」って笑顔で頭を撫でてくれた。これって、夢で見た情景だ!と、思わず心中ではしゃぐ。

デザートをひと匙口に入れれば、甘くて冷たい杏仁豆腐の風味が鼻に抜ける。逃すまいと目を閉じて、堪能する。

目を開ければ、満足げに堂上教官が「そういうお前見るの、久しぶりだ」と笑ってる。

 

「あれ、二人とももういいの?ちゃんと休んだ?」

訓練を終え、着替えたであろう小牧教官が合流した。定位置に腰掛けると、遠くの手塚に手招きで合図する。

「ああ、こいつの腹の虫がやかましくて、寝ていられなくなってな」

「ひどーいっ!起きてからじゃないですかっ!!」

「アホ!グラスが倒れる!」

「きゃ」

二人のやりとりに、小牧教官が息も絶え絶えに笑いをこらえる。そんな姿も、久しぶりに見る気がする。

 

ああ、夢みたいだ。こんな日常が、戻った。

 

 

 

 

毬江ちゃんが被害者になった痴漢事件が起こり、あたしと柴崎が囮となって教官たちが犯人を捕まえた。

無事に、図書館の平和を取り戻せた功績は、あたしにもある?

 

あの、医務室でのひととき以来、もう、かの三正を堂上教官の中に探さないあたしがいる。

探さなくても、見つけ出して無理やりに自分の存在を認めさせなくても、もう立てる。

明日は、公休。教官の病院に行く、その日だ。

 

ならば、言わなくちゃ。どうしても。

あたしも、けじめをつけて、前に進むのだと。

 

 

「あたし、王子様からは卒業します!」

 

あたしの宣言に堂上教官は固まり、小牧教官は爆笑して床に沈んだ。

 

 

 

□□□□□

 

 

宣言の言い訳をアワアワと言い募って、失礼しますと大きく頭を下げ、逃げるようにその場を後にした。残された小牧教官と堂上教官で、どんな話をするんだろう。気になって仕方ないけど、その内容を知れるはずもない。

せっかく縮まった距離は、また開いてしまうのか。

 

「あーあ・・・やっちゃったかなぁ・・・」

トボトボと背中を丸めて、寮に帰る。

明日の公休は、せめて一人ででも、ちゃんと病院に行って欲しいんだけど・・・と思っていると、携帯がメールの受信を教えた。

 

『明日、0830武蔵境駅。病院終わったら、昼飯ぐらい奢ってやる   堂上』

 

ボンと音を立てて、首から上が猛烈に熱くなったのを自覚している。

デートじゃないけどデートみたいで、嬉しくて、誰にも見られていないのに、顔を手で隠す。

 

 

「やばい!・・・なに着よう!?」

郁は柴崎に何を献上しようかと算段しながら、寮に走った。

 

 



 

 

Fin.

 

 

 

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6 番外編

最愛 エピローグ

comment iconコメント ( 18 )

No title

 こんばんは。お二人のコラボ!交互に堂上さんと郁ちゃんのお話が読めるなんて、贅沢です!

 やっぱりふたりは、似たもの同士なんだなぁと...にんまりしちゃいました。ストレスからくる体調不良でしたが、ふたりの医務室での充電で、元に戻って良かったです!

 病院にもふたりで行けますしね!デートにしちゃいましょ❤

王子様卒業宣言までのお話、楽しく読ませていただきました。ありがとうございます。

名前: うりまま [Edit] 2017-06-02 22:27

happy

お久しぶりです!!!
コラボおもしろかったです!!!
また楽しみにしています♪

p.s.堂郁の子供とかのお話も読んでみたいです

名前: kana [Edit] 2017-06-02 23:50

こちらは堂上さんsideの感想を♡

相変わらず息ぴったりでした!
悠さんとayaさんのコラボを読むと必ず思うこと。
『言われなきゃコラボって気づかない!』

そして久々の虫かご堂上さんじゃないですか♡
頭ポンポン禁断症状のおかげで後半のダダ漏れにキュン(*´꒳`*)
お互いがお互いを気にし過ぎて眠れないとか本当、似た者同士で。
こんなにこんなにお互い愛おしく想ってるのに…
ジレジレ…ジレジレ…まさにこれぞ堂郁!です(*≧∀≦*)

名前: yuca [Edit] 2017-06-03 00:28

いけずぅ!

昨夜のうちにコメントしたはずなのに。消えてる!?
(ずぶっしーサイドも、酔っていたのでな💧なのに、筋トレせにゃならんかったしな。すまんな)

では改めまして

教官のいけずぅ!
もっとわかりやすく優しくしてよぉ!…
って、思いながら書いてました(笑)
そうしたらカラッとフライもあがるのにね😢
でも、そのいけずな感じが、たまらなく好き❤なんだよなー。Mっ気あるのかな。やべーな。

送り付けたあと、予想と違う形で戻ってくるのが楽しくてニヤニヤ。読み終えたらすぐに書きたくなる。
リレーコラボ、やばいね。癖になりそう♪
また、頼むぜ!!

名前: aya@屋根裏部屋 [Edit] 2017-06-03 05:23

こんにちは🌱お二人のコラボ楽しませて頂きました😆頭ぽんぽんは私も大好物です🍀お互いがストレスを感じるほど頭ぽんぽん不足を感じていたんですね😅病院への付き添いデートがどうなるのか待ち遠しいですね💕また愉しいコラボを楽しませて下さいね❤

名前: torotan [Edit] 2017-06-03 11:45

No title

贅沢なコラボ、読ませていただきました!他の方も書かれてましたが、お一人の連作にしか思えない‼︎ お二方の萌えポイントやキュン死シーンが見事にシンクロしているのでしょうか。作品のキャッチボールを横で見ていたいです!
しかし、付き合っていないのに、『頭』ぽんぽんできなくて、一番頼りにされなくて、それで倒れるって、どんだけですか⁈ その後もデートじゃなく付き添いって。このジレジレはたまりません❤️
またの機会を楽しみしています。

名前: サフィー [Edit] 2017-06-03 16:07

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名前: - [Edit] 2017-06-04 06:16

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名前: - [Edit] 2017-06-04 23:41

すてきコラボ☆

こんにちは。
書き手さんが変わっているとは思えず、すんなり一気読みできちゃいました。
郁ちゃんに距離を取られて体調を崩しちゃう教官、どんだけですか。カサハラ欠乏症は強~いはずの教官の膝を折らせてしまうのね。
ジレジレが大好物なので堪能しました💛

名前: shimoko [Edit] 2017-06-05 14:55

うりままさんへ

コメントありがとうございましたm(__)m

あやちゃんとのコラボは楽し過ぎて、何か一つネタがあれば、いくらでも話が広がっていくんです♪
そんな楽しさが読み手のみなさんにも伝わっているなら嬉しいです(*''▽'')
今後もコラボあると思うので・・・(あ、あるよね?ww)楽しみにしててください。

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-12 16:49

kanaさんへ

コメントありがとうございました。
返信遅くなってごめんなさいm(__)m

また楽しんでもらえるようなコラボが出来たらいいなぁって思ってます♪


追伸:堂郁の子供の話!!
  偶然ですが、先日アップしました~\(^o^)/

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-12 20:07

yucaさんへ

両方にコメント、ありがとうございました♡

コラボって気づかない?
そんなに違和感無い?
だとしたら、あやちゃんが上手いんだと思う。
私、何も気にしないで書いてるもん(;'∀')
(ごめんね、あやちゃん・・・)

書き手二人とも焦れてるから、普段よりジレ度が増してるのかも(笑)
うん。ジレジレしたい人のために、もっとコラボしよう!!

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-12 20:10

ayaちゃんへ

私らのジレ加減が、なかなかな作品を生んでいるようだよ(笑)
この路線で、これからもコラボしまくろうね!!

・・・と言いつつ。
夏場に考えてたコラボは、未完のままである。
やべーな。こまっきーに怒られっぞ!(笑)

もう一度作戦会議しよう!
新たなネタを仕込もうではないかっ!!

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-12 20:14

torotanさんへ

コメントありがとうございましたm(__)m

教官の頭ポン。
みんな、自分がやってもらえてる妄想しますよねww
ただそれだけで、悶え死んでおります(・∀・)ニヤニヤ
だからね。
郁ちゃんだって、禁断症状出るわけだわ(;'∀')

今後もコラボ頑張りますね!!

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-12 20:17

サフィーさんへ

コメントありがとうございましたm(__)m

ホント、違和感無いですか?
予想外の感想を頂けて、嬉しいです(*''▽'')

二人して禁断症状とか、どんだけだ!(笑)
って、書き手二人ともジレジレしてるからそうなるんだなww
面白い相乗効果だと思います( ̄▽ ̄)

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-12 20:29

ぴーさんへ

コメントありがとうございましたm(__)m

サイドチェンジになって進むと、結構スイスイ読めちゃいますよね。
自分でも書きながら、あやちゃんから届くものを繋げる度に最初から読み直すんだけど、毎回楽しんで読んでましたww
皆さんのコメントで、ジレが増幅されることも分かったので(笑)これからも楽しいコラボしようと思います♪

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-12 20:44

nonorinさんへ

コメントありがとうございましたm(__)m

普段、気持ちをちゃんと伝えきれない教官は、きっと頭ポンの瞬間に想いを吐き出してるんでしょうね。
これが無いと、調子が狂うんだろうなぁww

想いは溜め込んではいけません!!ってことですね♪

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-14 01:15

shimokoさんへ

コメントありがとうございましたm(__)m

何だか絶妙なコラボになってるみたいで♪
皆さんに楽しんでもらえて、良かったです\(^o^)/

こんな感じでジレジレを妄想するの、とっても楽しいのでこれからもコラボしたいと思います!!

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-09-14 01:18

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