1月15日は、カミツレデートの日♡
だけどお話はその前日です(笑)
ちょっと短めに。

デートを控えた二人のドキドキを一緒に味わいたかったの♪


因みに。
1月14日は本当にタイトル通りの記念日だそうです。
うちの車がそう言いましたww






愛と希望と勇気の日

 

 

 



 

・・ポーン・・

>>1月14日。今日は《愛と希望と勇気の日》です

 

 

「・・・・・」

 

 

 

 

図書隊所有の普通乗用車は数少なく、幹部クラスが所用で利用する時ぐらいしか稼働しない。三正以上の隊員に運転の許可が下りるのだが、大体は市街哨戒用の(誰にでも図書隊だと分かる使用の)ミニ四駆などに乗る。

本日、堂上はそんな市街哨戒用の車ではなく、地球にやさしいハイブリッドカーなるものを運転することになった。後方支援部の車両整備担当の手違いで、哨戒用の車の数が足らなくなったのだ。

そして、エンジンをかけ・・・ナビの爽やかな女性の声が、今日の記念日を告げた。

 

 

「愛と希望と勇気の日、だと?」

 

かなりの時間を要して、その初耳な記念日の存在を脳に刻んだ。

愛と希望と勇気……どの言葉も、今の堂上には響くものだ。そのどれもがある人物を思い出させる、ということも改めて思い知った。

 

「これをあいつが知ったら、どんな反応するんだろうな」

 

 

「それって、笠原さんのこと?」

「っっ!!!」堂上はギョッとしながら助手席に顔を向けた。

「ダダ漏れてるよ、はーんちょ♪」

小牧はそれはそれは嬉しそうに「さあ、出発だ!」と堂上の視線を無視して前方を指示した。一番痛いところを突いてきたにもかかわらず、その傷口を広げるような詮索はしない小牧の、長年に渡るバディとしての気遣いに感謝しつつ、爆弾を投げ込まれたかのように心拍数を上げるその子の名をサラリと告げてしまう、小悪魔的な意地の悪さには閉口させられる。

 

 

そう――小牧は知っている。

堂上が密かに、本人さえも気付かないうちに育て上げられた「愛」の正体を。

そして、検閲のある社会における図書隊の在り方に不安を抱えながら仕事を続ける我々にとって、ささやかな「希望」となる存在が誕生したことを。

でも、小牧は知らない。

堂上が明日、郁との約束のデートで、大きな「勇気」を振り絞ろうとしていることを。

 

だから―――すっかりほとぼりが冷めた頃に、悪気も無く言い放つのだ。

 

 

「きっと笠原さんなら『愛と希望と勇気の日!なんて素敵なネーミング!』ってキラッキラな眼をすると思うよ」

 

 

 

 

 

◆◆

 

 

「う~~~ん・・・なんだっけかなぁ・・・」

 

手塚と郁は館内警備中。郁の唸りに手塚は苦い表情をして「どうした」と尋ねる。

「あのね、今朝のテレビで、今日は何の日?みたいな話題があったの。ずっと昔に映画にもなった実話で、南極だかに置き去りにしてきた犬が生きてたって。それを記念して、ナントカの日って呼ばれてるらしいの。愛とぉ・・・なんだったっけかなぁ?」

「はぁ。そんなの検索かければ一発だろ」

「あ、そか」掌をパンっとあわせて明るい顔をして、ニコリと手塚を見る。

「・・・俺に検索しろってか」

「えへへ」そこは笑って誤魔化しておく。

手塚は溜め息を吐きながらも、自身のスマホを取り出してササッと目的のページを開いてしまう。「ほらよ」と郁の目の前に画面を翳す。

 

「お、流石ですねぇ。えーっと・・・愛と・・・希望と勇気の日!そう、これこれ♪」

「愛と希望と勇気の日?!何だか恥ずかしくないか?」

「えーっ!いいじゃ~ん♪なんかこう・・・沸々と湧いてくるものがあるよね!」

「お前は単純だからな」

手塚のお約束のような反応に、郁は舌を出して対抗した。

「クールな手塚には解んないでしょうよ!」

「お前だって、その犬の話は知らないんだろうが」

「・・・まあね。そうだけども」

郁は眉を下げながらも「でも、そういうんじゃないんだよ」と口を尖らせた。

 

「そのネーミングがさ、いいなって思ったの。しかも、それが今日の出来事だったって事がね、ちょっと嬉しいなぁって」

「今日?なんか特別な日なのか?」

「ん?別に~~」

 

悪戯な笑顔で、郁は会話を終了させた。手塚もそれ以上は突っ込んでこない。聞いても話さない、話せないんだと理解している。試行錯誤しながらのバディ関係も、もうすぐ4年目を迎える今、お互いの距離感は抜群だ。

 

 

 

手塚はちゃんと分かっている。

郁は皆に平等に「愛」を注げる稀な人間であることを。

そんな郁の存在に、命の危険がある職業に就く仲間たちが「希望」を見出していることも。

そして手塚自身が、郁との絶妙なバディ関係を築けたことに最大の「勇気」を得られていることを。

 

だから―――素直に口にしたのだ。

 

 

「お前にとっては図書隊に居る毎日が、愛と希望と勇気の日、なんだろうな」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

――手塚に「お前にとっては、図書隊に居る毎日が愛と希望と勇気の日なんだろうな」って言われて、とっても嬉しかったデス!

 

 

 

郁の日報の最後の一行に、堂上は目を瞠った。

傍らに立つ郁がウキウキといった浮かれた様子なのは、手塚の一言の所為だったのかと少しだけ肩を落とした。

いつものように判を押して「いいぞ、お疲れ」と日報を返すと、郁は俯き加減で何か呟いた。

 

「ん?なんだ」

「え・・・っとぉ・・・きょーかん、残業、ですか?」

器用な上目遣いでのお伺いに、堂上は眩暈を起こしそうだったがグッと堪え、自身の机上をサッと見た。通常仕様で書類が積まれている。しかも明日は公休だ。残業確定と言わざるを得ない状況であった。

「堂上、その書類、俺に回して帰りなよ」

小牧がにこやかな方の笑顔で言った。郁は目をパチクリさせ、堂上はちょっと眉間の皺を深くした。

 

「笠原さん、何か話したいことでもあるんじゃない?班長は部下の様子に逸早く気付いてやらないとね。ほら、今日は何の日だったっけ?」

 

今度は揶揄いの笑顔だ。これは「愛と希望と勇気」にかけているのだと、朴念仁1号にも分かる。今までなら噛みついてきたところだが、今日は少しだけ素直になってみようかと思う。

「そうだな。たまには小牧も仕事しないとな」

「そうそう。俺も部下にいいとこ見せたいからね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前、なんで今日が『愛と希望と勇気の日』だってこと知ってるんだ?」

「えっ!教官も知ってたんですか!?」

 

寮までの道のりをゆっくりとした足取りで進む。それは郁の歩幅に堂上が合わせているようで、実は逆だという事に二人とも気が付かない。お互いに出来るだけ長く、この時間が続けばいいと思っていた。

 

「今朝テレビでやってたの、ちょっとだけ聞こえたんです。教官も?」

「いや、俺は車のナビで」

「え、ナビ?」

「幹部が使う乗用車があるだろ。あれにナビがついてて、一日の最初のエンジンスタートの時にアナウンスがあるんだよ。今日はナントカの日です、って」

「へぇ!おもしろーい!聞いてみたいなぁ。早く運転してみたいなぁ」

「それなら、早く三正になることだな」

「そこかあ!!」

郁は悔しそうに右足の腿を叩いた。そんな仕草に堂上はフッと笑いながら「励め」と掌を郁の頭で弾ませた。

 

 

再びゆっくりと歩を進めると、郁が徐に話し始めた。

「なんか、とっても素敵な記念日だなぁって思ったんです。しかも、それが今日だってことが嬉しくって」

「今日は、何か特別な日だったのか?」

「ふふ・・・手塚と同じこと聞いてる」

郁の言葉で手塚ともこの話をしたのだと分かると、少しだけ拗ねたい気分になった。

「別に、俺にまで話さなくてもいいぞ」

「いえ、手塚には言っても分からないと思ったから答えなかったんです。でも・・・」

迷った様子で、郁は足を止めた。

 

「・・・今日は・・・もしかしたら、特別な日になるかもしれない・・・いえ、特別な日になって欲しいと思ってる日の前日です」

 

言葉をゆっくりと紡ぎながら、郁は徐々に視線を上げた。堂上と目があった瞬間には、大きく見開かれた。

 

 

「それは・・・明日が、特別な日になって欲しいってことか?」

「特別な日に・・・なりませんか?」

 

郁の瞳が何かを願っていて、堂上は珍しく怯んでしまった。

 

 

 

 

 

――堂上、今日は何の日だったっけ?

 

 

小牧の声が脳裏に浮かぶ。

 

分かっている。小牧は「勇気を出せ」と言いたかったんだ。

そして郁の本心は、明日を「特別な日にしてほしい」のだ。

 

 

それならば、遠慮なく

明日はお前を奪いに行く―――

 

 

 

 

 

 

困ったような表情の郁に、今日の精一杯の勇気で笑顔を見せてやる。

 

 

「お前が望むなら、明日は―――

 

特別な一日になるんじゃないか?」

 

 

 

 

 

 

明日は明日の精一杯の勇気を振り絞って――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

fin

 

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comment iconコメント ( 10 )

お主……

タイトルからして、顔が汚れると力が出ないヒーローものかと思ったぞ(笑)そんな中コマッキーが「さあ、出発だ!」なんて張り切るから!空を飛ぶポーズを彷彿とされて、ニヤリとしてしまった(笑)

なんか、バディの会話の間合いがいいね!何を考えているか、どう答えるか予測できて、進んで行く空気感。いいなぁ♡
ほら、堂上さん!郁ちゃんが明日は特別な日になってほしいって言ってるよ!そこの2人は相手の出方をもうちっと、利己的に考えて口に出そう!(笑)そうしたらゴールはすぐそこなのに!

最後に、あなたのバディから一言。
「また丑三つ時にしごとをしよったな…作品投下は嬉しいけど、ちゃんと、寝ましょう」(笑)

名前: aya@屋根裏部屋 [Edit] 2017-01-15 06:01

甘気団(笑)

こんにちは。
日本列島吹き荒れる寒気団の如く甘味を振りかけるのはやめてくださいねーーー(笑)

名前: S.A [Edit] 2017-01-15 11:05

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名前: - [Edit] 2017-01-15 21:53

ayaさんへ

それいけ!ア●●ンマーン!!

元々は堂郁で話を短く考え始めたのに、いつの間にやらバディの話に広がって・・・
そんなこともあるよねww

カミツレデートの前日だということを、うちの車に教えてもらった。
すっかり忘れてたから良かったぜ(;'∀')

でも、書きたくても書けない一日だったんだよー!
だから夜中にせっせと仕事してしまったよー(´;ω;`)
頑張って寝るよ。。。

名前: 悠@c.you [Edit] 2017-01-16 20:26

S. Aさんへ

甘気団・・・旨い事言うなぁ♡ 流石!
前線上昇中ですから、お気を付けくださいm(__)m
注意報飛び越えて、警報鳴らしますww

名前: 悠@c.you [Edit] 2017-01-16 20:31

nonorinさんへ

ホントに、明日がデートってどんな気持ちだろう?
なんか、遠い昔で想像もつかない(笑)
ここにあるのは、全てが理想でございますw
ドキドキだけは、シンクロしてますが(;'∀')

名前: 悠@c.you [Edit] 2017-01-16 20:33

日記?w

郁ちゃんの日報が日記になっている件www可愛すぎるw(*´Д`*)
そしてこれもう告白の予告ですよね?言っちゃってますよね?w素敵なプレカミツレ記念日ありがとうございましたw

名前: チャコ [Edit] 2017-01-18 12:20

チャコさんへ

きっと、とーっても嬉しかったんですよ~♪
教官に聞いて欲しくて仕方なかったの。

カミツレ前日。
そわそわ、わくわく、ドキドキ・・・落ち着かない二人が浮かぶ・・・。
ちょっとした会話も、明日へ繋げて一喜一憂なんだろうなぁ。

告白だと、気付くかは・・・天然娘と朴念仁のスキル次第(笑)

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-01-20 11:21

前日の2人は…

娘が宿題やってる隣で読んでたら
にやにやしてたらしく、ママ顔やばいよ( ̄▽ ̄)と…

前日の2人はなんだかマシュマロみたいです~
甘くてふわふわな感じ♡

教官とのやり取りもですが、手塚との距離感ややり取りもすごく良いですね♡
そりゃ教官もヤキモチ焼いちゃう( *´艸`)

小牧さんもナイスアシスト!
さすがバディです。教官の背中押すのうまーい♪

それにして前日にこんなやり取りしてるのに、告白もお付き合いするのもまだまだ先だなんてww
さすが堂郁!

名前: yuca [Edit] 2017-01-20 16:38

yucaさんへ

返信遅くなってごめんなさいm(__)m

ニヤニヤしていただけたんですね?
それは・・・見てみたかった!(笑)

初デートの前ってだけでも、ムズムズしちゃうんですけどねww
堂郁となると更にマシマシかも(笑)
ジレジレも加味されますからねー♪

名前: 悠@youBB [Edit] 2017-02-07 13:53

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