はじまりシリーズの「Secret of my heart」の番外編っす。






【奥多摩番外編】進藤、あのな・・・

 

 

 

 

タスクフォースの半分が奥多摩訓練に出発した。

後行隊になった進藤は、毎日「つまらん」を連発して留守番隊の士気を下げっ放しだ。

 

「進藤さ~ん、元気出してくださいよ~~!」

「堂上班が居なくてそれだけで華が無い状態で、笠原が居なくて明るさを失い、進藤一正まで落ち込んでると俺たち仕事する気無くなります!」

 

若いヤツらに説教されながら「ヤル気?元々無いよ」とかなんとか拗ねてみせたり。

全くもって子供な進藤の態度に、隊員たちは苦情を言い始めた。

その行先は・・・緒形だ。

 

玄田は張り切って奥多摩へ出かけた。

しかも、玄田だけは先行も後行も無い。行きっ放しなのだ。

 

「進藤、いい加減にしろよ」

「・・・俺は寂しいんだ」

「分かったから、仕事してくれ。それでなくても堂上たちの分、書類が溜まってるんだ」

「へいへい」

 

やっと自分の机に向かった――かと思えば、スマホを弄りだす。

そうだ、っと何かを思い出したらしい。何度かタップし、目的のものを表示すると、近くの班員に画面を掲げる。

 

「あ、笠原だ」

「ホントだ。これ、いつの写真ですか?」

「昨夜だ。あっちに行ってるヤツらが送ってきた」

「さすが!仕事の鬼!」

 

みなが言う「仕事」とは、糖害被害者の会会員のお仕事だ。

堂上と郁のイチャコラを撮っては女帝に貢ぐ…タスクの生命線のようなお仕事。

奥多摩に行っても忘れず報告。会員の鏡だ!

 

「なんか・・・笠原もぶーたれてますね」

「進藤一正みたいですよ」

「天気が悪くて、外の訓練が立て続けに中止やら延期やら」

「やっぱり・・・」

「降下訓練は出来るのかって、毎晩隊長に食ってかかるもんだから、隊長が疲弊してるとさ」

 

思わず吹き出し、静かに笑い合った。

 

「あ、昨日も安定のバカップル、だってさ」

「どれどれ・・・っ!・・」

 

言葉を失う隊員に、皆「どんな写真だ?」と興味津々。

仲良く頭をくっつけて、スマホを中心に円陣を作る。

 

「・・・・・ま、そうだよな」

「・・・うん。安定だ」

「・・・・・」

 

そこには、食堂のテーブルを挟んでお茶を啜りあう二人。

頬を紅潮させた郁は、目をキラキラさせて堂上を見つめ、その視線を一身に受けた堂上は、自信たっぷりな笑顔で郁を見つめ返し何か語っているようだ。

 

「なんてことない写真だけどなー」

「これで付き合ってないからなぁ!」

「毎回だけど、どんだけだぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

鶴の一声のような叫びで、このバカップルの話題は終了となる。

安定のルーティーンだ。

 

 

 

「お、この報告書に面白いこと書いてありますよ」

若い隊員が見つけたのは、写真を補うメールでの報告。

一日、どんなことがあったのか細かく送ってきている。

 

「へえ。手塚が『お前と俺の仲だろ』だって。あいつらもバディらしくなりましたねー」

「そうだな。手塚と笠原は良いバディだよなぁ」

「よくあそこまで纏まりましたね」

 

みな感慨深げだ。

 

「ぷぷ・・小牧もそのセリフ言いたいって、堂上に言ったって」

「あのタヌキ王子。時々子供っぽいことするよな」

「堂上の反応で遊びたかったんだろ」

「「ああ、なるほどー」」

 

妙に納得できる。

 

「それにしても。堂上班は仲がいいですね」

「あいつらの班は、増員も解体もできねーな。上手く纏まり過ぎてる。文句も言えねーよ」

「確かに。あれだけ動ける班はそうそう無いですからね」

 

腕組みをしてうんうん頷きあっていると

 

「そろそろ仕事しろよ。さっきからお前たちは奥多摩の話しかしてないぞ」

 

緒形から教育的指導が入った。

 

「す、すみません!」

「副隊長、申し訳ありませんでしたぁ!」

 

若い隊員は敬礼で自席を向く。進藤は・・・

 

「まあまあ。お前と俺の仲、だろ?」

 

ニヤリと笑って緒形を見る。

 

「・・・そうだな。お前と俺の仲・・・だったら仕事しろ。この書類、あと30分で上げてくれよ。業務部に確認してもらわにゃならん」

 

「・・・おいおい。なんでそんな反応なんだよ」

 

眉を下げて「まこちゃん寂しい」とおどけて見せた。

   ※進藤さん、名前は「誠」さんですw(LM公式)

 

 

 

 

 

「進藤、あのな・・・

 

そのセリフは同期同格だから成り立つんだ。

 

 

 

俺とお前の仲なら、副隊長命令だ。仕事しろ!」

 

 

 

 

ガックリ項垂れる進藤。

 

 

 

――進藤一正、被弾!!

 

 

 

 

 

班員たちが心の中で叫ぶ。

 

 

そして今日の留守番日誌に「副隊長の名言」として残されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

おわり

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